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[W]顕微鏡

[W]顕微鏡の概要

顕微鏡が発明されたのは16世紀中頃のヨーロッパでした。発明者については様々な説がありますが、最も有名なのはオランダのガラス磨き職人のヤンセン父子で、1590年に2個の凸レンズを両端に取り付けた顕微鏡を作りました。1600年代に入ると顕微鏡は生物学に利用され、微生物や細胞など数々の発見に寄与しました。イギリスのロバート・フックが作製した顕微鏡は、現在の光学顕微鏡の原型とも言うべき対物レンズと接眼レンズを組み合わせた「複式顕微鏡」、オランダのアントニー・レーフェンフックが作製した顕微鏡は1個のレンズを使用する「単式顕微鏡」でした。

1800年代に入ると顕微鏡は急速に進歩し始めました。ドイツのカールツァイス社のアッベが「顕微鏡像生成理論」などを発表しレンズ設計を大きく進歩させたことや、ガラス材料の改良や色消レンズ群の完成、液浸系レンズなどの発明によって、1000倍を超える高倍率の顕微鏡製造が可能になりました。医学分野では化学染色法や「暗視野顕微鏡」などの発明がなされました。

日本が明治時代に入ると、欧米から様々な最新文化が入ってくる中に顕微鏡もありました。日本で顕微鏡の輸入販売が行われるようになったのは明治20年(1887年)頃からで、輸入品の多くはカールツァイス社やライツ社などのドイツ製でした。大正元年(1912年)、加藤嘉吉氏と神藤新吉氏がライツ社の顕微鏡をモデルに試作品第1号を完成させました。この顕微鏡に注目したいわしや松本器械店(ドイツ製顕微鏡を輸入販売)の松本福松氏が資金援助を申し出て完成したのが、国産初の顕微鏡「エム・カテラ」でした。

1932年、ドイツのルスカが電子顕微鏡を発明しました。