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電気メス

電気メスの概要

電気メスは高周波電流によるジュール熱を利用して皮膚や筋肉などを切開、止血を行う医療機器です。対極板を手術部位に近い対向側に当てて、十分に体表に密着させ通電すると手術部位にメス先状電極より高周波電流が流れます。手術部位にジュール熱が発生して組織の細胞内の水分を瞬時に蒸発させ、これにより組織が壊れることで切開、止血が行われます。

電気メスの開発は1800年代後半から始まりました。1890年、高周波電流を生体組織の出血を止める方法に応用したのが電気メスの始まりです。1926年、米国の工学博士W. T.ボビーが電気メスを開発し、これを利用して、米国の脳外科医ハーベイ・カッシングが同年、世界で初めて電気メスによる外科手術(脳外科手術)を行いました。

日本で初めて電気メスが開発されたのは昭和5年(1930年)。ドイツの電気メスを参考にしたスパークギャッブ(避雷器)式の電気メスでした。昭和23年(1948年)、米国製真空管・スパークギャップ式併用の電気手術器を参考に国産電気メスの開発が始まりました。昭和49年(1974年)、米国でトランジスタ式の電気メスが登場しました。これに刺激され、国内メーカーは昭和52年(1977年)に国産初のトランジスタ式電気メスを発売しました。