形成外科は主として先天的な奇形(口蓋兎唇裂など)やけがやけど、手術などの傷跡などを機能的、整容的に治療して社会生活への適応を助けること、また皮膚科は皮膚の疾患の診療を目的とした臨床医学の一分野です。両領域とも皮膚が主な治療対象の1つとなっています。植皮刀(採皮刀)およびデルマトームは皮膚移植の際に皮膚を採取するための医療機器です。皮膚移植には当初、植皮刀が用いられていました。しかし、植皮刀の場合、広範な皮膚を採皮するためには、皮膚面に対する刃先の角度や圧力の度合いに術者の熟練が必要でした。植皮刀では皮膚を削りすぎる可能性が高いのです。そのため、皮膚を削りすぎる可能性を低減できるデルマトームが発明されました。
1938年にパジェットとフードが画期的な植皮刀を発表しました。パジェット・フード型デルマトームと名付けられたこの医療機器は、回転する金属製の円筒とその周囲を一定の間隔により動く刀、および、その間隔を調整する目盛から構成されており、その基本的構造は現在のデルマトームの原型となっています。さらに、ブラウンが第2次大戦中に考案したのがブラウン式デルマトームで、初の電動式デルマトームとして知られています。