心臓は右心房の上大静脈の開口部近くの心筋(洞結節部)から発生する微小な電気刺激によって心筋収縮運動(拍動)を行い、休むことなく全身に血液を送り続けています。心臓ペースメーカーは、心臓疾患などにより電気刺激が発生できなくなった患者の心臓に接続して、生体信号に近い電気刺激を送って拍動を補助する装置です。
世界で最初のペースメーカーは1932年に米国の生理学者アルバート・ハイマンによって開発されました。開発当初のペースメーカーは電気刺激装置を体外に置き、体内に刺激コードを入れるタイプのものです。現在使用されている小型電池による完全体内埋め込み型のペースメーカーは1958年のスウェーデンのルーン・エルムクピストらによって開発されました。当時1回の充電で電池寿命は15〜20分でしたが、水銀電池やリチウム電池の進化によって電池寿命は延びていき、現在では小型化も進んで耐用年数は5〜12年になっています。