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麻酔器・麻酔用具

麻酔器・麻酔用具の概要

麻酔は薬物を神経に作用させて痛みを感じさせない状態を作り出す方法です。全身麻酔には口や鼻から麻酔薬を吸入させる吸入麻酔法と、静脈から麻酔薬を注入する静脈麻酔法の2つの方法がありますが、麻酔器を用いた世界初の全身麻酔は吸入麻酔法で行われました。1846年、米国の歯科医モートンがガラス球を使った気化器でエーテルを麻酔薬に用いて、患者の口と鼻から吸入させ成功しました。麻酔薬としてクロロホルムを利用する医師もいました。さらに亜酸化窒素(笑気ガス)の研究も進められていましたが、第二次大戦後までその効果を注目する者はごくわずかでした。現在の麻酔のほとんどが笑気ガスを用いていることを考えると隔世の感があります。

1869年にはドイツで世界初の気管挿入麻酔が行われました、1902年にはドイツで酸素を持続的に供給する麻酔器が開発されました(全身麻酔の場合、呼吸が弱くなることから酸素の供給が不可欠)。1924年には同じくドイツで閉鎖循環式麻酔器(酸素の代わりに患者の呼気を使用)が発明されました。

日本で初めて麻酔器が製造されるようになったのは第二次大戦後のことです。昭和25年(1950年)に閉鎖循環式麻酔器が発売され、同年、日本初の気管挿入麻酔が行われました。さらに昭和50年(1975年)には人工呼吸器と組み合わせた麻酔器が開発され、現在ではほとんどがこのタイプとなっています。