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心電計

心電計の概要

心電計は心臓の拍動に伴う心筋の活動電位または活動電流をとらえて記録する装置で、得られた波形が心電図を呼ばれます。イギリスの生理学者アウグツス・D・ウォラーは1887年、毛細管電流計を使って心筋の活動電位を初めて記録しました。この研究をもとにオランダの医師・生理学者であるウィレム・アイントホーフェンは1902年、毛細管電流計より感度の高い弦線電流計を用いた心電計を開発しました。アイントホーフェンはこの心電計を用いて現在の心電図に近い心電波形の写真撮影に成功しました。日本に初めてシーメンス社製の写真記録式心電計が輸入されたのは明治44年(1911年)。東京大学などで研究が行われました。昭和3年(1928年)にはシーメンス社が三極真空管を使用した心電計を開発しました。国産初の三極真空管を用いた心電計は昭和9年(1934年)、酒井医療の福田正によって作製されました。

昭和26年(1951年)、慶應大学医学部の笹本浩氏は福田エレクトロの福田孝氏に米国ニューヨークで購入した「熱ペン直記式心電計」を披露しました。この当時の日本では、心電図をフィルムに記録して暗室で現像する電源撮影式心電計が主流だったので、福田氏はこの熱ペン直記式という画期的な心電計の開発にすぐさま取り掛かり、同年、国産で初めての熱ペン直記式心電計を作り上げました。